私、13歳の猫二匹を飼っています。
元々、飼う気はなかったのですが、ご近所で引っ越しする若いカップルが次のアパルトマンはペット禁止だったりすると、あっさり置いていくのです。
うちで飼っている猫らは二匹とも捨て猫です。
一匹目はトマトソースの下にイワシを隠し味にしたピザを焼いている時に窓を開けに行ったら、6か月くらいの黒猫がちょこんと座ってました。
大きい窓を開けると入って来たので、出て行ってもらおうとしても、なかなか出なく、そのまま飼うことになって13年になります。
2匹目はその翌年に大きい窓の横にエントランスの軒の下でお産したママさんです。
子猫らは人気があって、一匹残らず里親が見つかりいなくなって、ママさん猫だけ残り、クリスマスイヴの前に吹雪があって、私の方が耐えられなくなって引き取りました。
病院で推定年齢2歳ということで、月例は千住猫とほぼ一緒です。
それから、長い日々を一緒に過ごし、私もいろいろあって今日に至ります。
移民する前は猫の目が怖くて、実家にいた若い頃は庭にいる時に迷い込んで来た猫にホースで水を撒くほどでした。
母親が犬は表情が豊かでかわいいけど、猫は無表情で憎たらしい上に歯を見せると気持ち悪いなどをよく聞かされて、猫とはそういうものだと思って毛嫌いしていたのです。
それが、捨て猫を飼うことで人生が一遍ひるがえってしまいました。
未だに未知なことだらけですが、いろいろな表情を見せたり、非常に感情表現が豊かだということが分かりました。
猫を長く買っている人にあるあるな話かもしれないですが、猫が飼い主を見つめて何かを語り掛ける時があります。
そんなに複雑でなくても、いくつかな事例があって、どうにもこうにも理屈で割り切れないのです。
ボトルをひっくり返したような給餌箱がありますが、猫らが食べると重みで餌が勝手に降りて来るやつです。
二匹のうち一匹の猫が私を見つめて何やら語り掛けてきます。
「餌がなくなって来たから、そろそろ補充してよ!」って、ポカ~ンとメッセージが伝わって来るというのか、あれは映像なのか、私は殆ど確信して思い出すように餌場に行くと、給餌箱の餌がなくなりかけています。
オ、オーと言いながら、私は餌の補充をしますが、何で彼女(二匹のうち一匹)の気持ちが分かったのだろうと不思議に思いました。
次になくなっても、彼女のじっと見つめる瞳ですぐにわかります。
もう一匹の千住猫なんですが、好奇心が大せいで社交的です。
非常に場所フェチで一日中、寝床を変えます。
それを考慮してたくさん猫の寝床をあちこちに備えていますが、遊び方も変わっていて、私はよくある場所に誘われます。
招き猫みたいに片手で「ネェネェ」とイスに座っている私の太ももをチョコンチョコンと叩くんです。
ちょっと口元をみると、微妙に笑っているように見えるのはこじつけかもしれないけど、そう見えるのです。
私の目をじっと見て、次にお誘いしたい方向を見ます。
何かあごで、「あそこ!」って聞こえてくるんです。
私、「何、何、何が言いたいの?」って言うと、私の方を振り向きながら、バスルームの方に向かいます。
次に浴槽に手をひっかけて二本足で立ちます。
その後にまた私の方を振りむいて見つめます。
最初はもう老猫だから、登れないのかなと思っていたけど、日本の浴槽じゃないので、そんなに高くないのです。

もしかして、怠けたいのかと思って浴槽に入れようとしたら、勝手にジャンプして入りました。
浴槽内は曲線でツルっとしていうので、猫が入った瞬間に滑り台を滑ったくまさんみたいにずっこけたのです。
ずっこけたのが気に入ったのでしょうか、寝がえりして唸りながら興奮しています。
そして一瞬止まり、私の方を向いて時が止まったように見つめます。
「アウ-(どうも猫らにアウ-と呼ばれている)も浴槽に入っておいでよ!」ってメッセージが飛んできます。
というわけで、私も空の浴槽に入って曲線に沿ってスコティッシュフォールドのようなオッサン座りをしてみました。
すると、あることに気がつきました。曲線の部分が温かいのです。何かアパルトマンの構造的に電気ヒーターの配線パイプのようなものがあるのかもしれないです。
猫が「ほら、ここ温かいでしょ、いい場所でしょ!」って語り掛けるように見つめてきます。
猫は思考をしないとは言いますけど、思考をしないのにどうやって意思を伝えるのでしょうか。
これはほんの一例ですが、朝から晩まで一緒にいると、様々な猫らの意思伝達に追われ適度に忙しくなるのです。
まあ、猫飼いしていない人に話すと、私の単なるこじつけか、飼い主が都合よく解釈しているだけと片付けられます。
頭がおかしいと言われるよりましですね。
猫中心の生活でスミマセンと先に平謝りしておくのが賢明かもしれません。

